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パパのお父さんはへっぽこ小児科医

へっぽこ小児科医によるへっぽこ育児ダイアリー+α。父親と小児科医の視点から日本の医療と世相を斬って斬って斬りまくる、なんてことはなく、日々思ったことを綴ります。何かと大変な育児、読んでいただいた人に少しでもお役に立てれば良いのですが。。。

黒沢年雄殿のありがたいお言葉とその先にあるもの

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どうも、あんきろさんです。

最近、yahooニュースの医療分野ウォッチャーみたいになってますね。
他に書きたいことがないわけじゃないんですけど、頑張って記事を書くほどはなかなか時間が取れなくて。

また時間ができたら予防接種の記事とか書きます。

さて、俳優の黒沢年雄さんがありがたいお言葉をテレビで述べられていたようです。

headlines.yahoo.co.jp

「水で治るとか信じるな。」けだし名言ですね。
さすががん闘病を8回もされると言葉の重みが違います。

ただ、おっしゃっていることは全くその通りで、医師からすると本当にありがたいお言葉なんですが、これが全ての面で真実かと言うと、そうも言えないのが医療の現実です。

黒沢さんがこのように言えるのは、きっと「癌に8回なった(経緯をよく知らないので何をもって8回なのかはわかりませんが)けど、ちゃんと治療して助かっている」からだと思うんですよね。

現在の医療では、治る癌もあれば治らない癌もあります。
同じ癌でも、見つかった時期や転移の有無で治る確率が大幅に変わってきます。
このことが意味するのは、医師として患者さんに「あなたの癌が治る(≒5年後に生きている)確率は10%以下です」といったことや、究極的には「あなたの癌は治りません。推定される残された時間は半年です」とかいったことを言わなければいけないということです。
果たして、患者さんはこういったことを言われた時に医師を信じられるでしょうか。

僕は小児科なので「10%の可能性にかけて、できるところまで頑張ろう」というシチュエーションになることもよくあるのですが、大人の場合は治る確率が10%であったら、基本的には完治を目指して治療をすることはほとんどないのではないかと思います。
そういった場合に医師の言葉を信じるということは、癌を治すことを諦めるということです。
そこで「はいそうですか」と言える人はほとんどいないんじゃないかと思います。

そこに奇跡の水なり、金の延べ棒なりが入り込んできて色々と残念な事態になるわけですが、こういったものはある意味では宗教と同じで、信じる者は救われるという一面も持ち合わせています。
癌の患者さんが、終末期において「治癒」ではなく「救い」を求めているのであれば、こういった代替医療(まぁ医療と呼びたくはないですが)が果たす役割というのも決して少なくはないと思います。

逆に、「治癒」を求めてこうした代替医療(まぁ医療とは以下略)に手を出すのであれば、それは完全に間違いであると言わざるを得ないですし、治癒を求める人の弱みにつけ込んで儲けようなどとは言語道断です。そういった輩には即刻消え去っていただきたいと思います。
冒頭の名言を引用させていただきますと、「水で治るとか信じるな」です。

終活という言葉に象徴されるように、人生が残り短いことがわかった時に、残された時間をどのように過ごすかということは非常に重要です。
そこで代替医療に救いを求めることを否定することは、医師である以前に一人の人間としてできませんが、そういった代替医療に貴重な時間とお金が浪費されていくことは、やはりもったいないと思います。
とはいえ、そういった状況で現在の医療(医師)が十分な救いを提供できるような存在であるかと言うと、多くの場合はそうではないんだろうなと思うのですが。
もう治癒を望めないという状況になった時でも、黒沢さんのように「絶対に医者を信じて」と言ってもらえるような存在になるにはまだまだ色々なものが足りていませんが、そういった存在を目指して頑張っていかなければならないと思わせられる一言でした。