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パパのお父さんはへっぽこ小児科医

へっぽこ小児科医によるへっぽこ育児ダイアリー+α。父親と小児科医の視点から日本の医療と世相を斬って斬って斬りまくる、なんてことはなく、日々思ったことを綴ります。何かと大変な育児、読んでいただいた人に少しでもお役に立てれば良いのですが。。。

その予防接種、本当に必要ですか?

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どうも、あんきろさんです。
さて、前回に続いて「本当に必要ですか?」シリーズの続編です。
今回はいろんな意味でみんな大好きな予防接種について見ていきます。
いろんな意味でみんな予防接種のことを大好きすぎて、予想外のところからツッコミが入りそうな気もしますが、まぁこんな末端のブログは誰も見ていないだろうということで気にせずに書いていきます。

 

はじめに

さて、まず最初に言っておきますが、ワクチンは必要です。
このような毒にも薬にもならないようなブログで文章を書いているへっぽこ小児科医の何倍も子どものために役立っています。
これまでの「本当に必要ですか?」シリーズは、「本当は必要ないのに」というかっこ付きの「本当に必要ですか?」でしたが、今回は初めて「本当に必要です!」という内容です。
ワクチン反対派の人がタイトルに惹かれて読み始めたのであれば、勘違いさせてしまい誠に申し訳ありません。平にお謝り申し上げます。

予防接種の目的って?

予防接種の目的は大きく分けて2つあります。
1つは接種した人をワクチンによって病気から守ることで、「直接効果」といいます。
となると、もう1つは「間接効果」で、これはワクチンを接種していない人がワクチンを接種した人によって守られることです。これは集団効果とも言います。
予防接種の目的というと、どうしても直接効果の方に目がいってしまいますが、社会全体で考えると、間接効果が非常に重要になってきます。特に、新生児や高齢者など予防接種ができない人を守るということも予防接種の重要な目的の1つなのです。
お兄ちゃんやお姉ちゃんが予防接種を打つことで、まだ予防接種ができない下の子を病気から守ることになるのです。
その観点から、アメリカでは州によって異なりますが、保育園や幼稚園、小学校に入るのに当たって、必要な予防接種が定められていて、その予防接種を打っていないと、入園・入学できなくなっています(医学的な理由や宗教的な理由で例外も認められていますが)。 

実際の効果はどんなものなの?

山ほどあるワクチンの効果を一つ一つ見ていくのは大変なので(時間があれば少しずつ書いていこうとおもいますが)、ここではここ10年で導入されて、そろそろ効果についての評価が確立してきたHib(インフルエンザ菌b型)ワクチンと肺炎球菌ワクチンについて見ていきましょう。
このHibと肺炎球菌という細菌は、乳幼児の肺炎の2大原因菌ですが、小児科医が一番嫌いな子どもの病気(わたくし調べ)である乳児期の髄膜炎の2大原因菌でもあります。
この髄膜炎は頭の感染症なのですが、本当に厄介な病気で、下手をすると(下手をしなくても)死に至ったり、重い後遺症を残したりする病気です。
その乳児期の髄膜炎ですが、2つのワクチンの接種が開始されてから劇的に減りました。
Hibワクチンは、2008年に任意接種が開始され、2010年から公費助成、2013年定期接種になったワクチンですが、厚生労働省が10道県で行っている調査では、2014年以降に髄膜炎を含めた侵襲性HIb感染症(血液や髄液など本来無菌の場所から菌が検出される感染症のこと)は0になっています。
肺炎球菌ワクチンについては、2010年に公費助成ありで任意接種が開始され、2013年に定期接種になったワクチンですが、肺炎球菌による髄膜炎は2010年に比べて2015年は70%になっているという報告があります。
70%というのは大きな数字ですが、Hibに比べると見劣りします。
肺炎球菌がHibに比べて効果が低い理由というのは、肺炎球菌はHibに比べて亜型が多く98種類もありますが、そのうち現在のワクチンでカバーされているのは比較的割合が高い13種類(当初は7種類でした)で、ワクチンによってカバーされている菌が減るとワクチンでカバーできていない種類が増えるためです。
とはいえ、髄膜炎が70%減っているというのは非常に大きな効果です。
実際に小児科医として働いていると、小児科の入院病床が数十ベッドあるような、それなりに大きな病院で働いていると、乳児の髄膜炎の症例は年に1-2例程度は見ていたのですが、ワクチン接種が普及してから見事に見かけなくなっています。
もちろん、髄膜炎に比べると割合は少なくなりますが、肺炎や中耳炎の発症率が下がったという報告も海外含めて多数あります。
その効果については、小児科医が一番実感しているところです。
他の予防接種についても、一つ一つ触れはしませんが、インパクトの大小はあるもののワクチンによってできればかかりたくない病気を防げるようになっています。

気になる副反応は?

予防接種を語る上で避けては通れないのが副反応です。
残念なことに、薬も同じですが、どんなに優れたワクチンを開発しても副反応は0にはできません。
その予防接種をしたために、接種しなければ起こらなかった不利益を被ることが稀にあるのは確かです。
ただ、明確に区別しておかなければいけないのは、「副反応」と「有害事象」の違いです。
「副反応」はワクチン接種後に起こる、接種と関連のある目的以外の(多くは望ましくない)事象のことです。
一方で「有害事象」はワクチン接種後に起こる、接種と関連のないものも含めたすべての望ましくない事象のことです。
例えば、予防接種を受けに行った病院で風邪をもらって翌日に熱を出したとしても、それは副反応にはなりませんが、有害事象にはなります。
子宮頸癌のワクチンであるHPVワクチンは、接種後に複合性局所疼痛症候群(CRPS)という慢性的な疼痛等の症状が出て苦しんでいる子がいますが、それは有害事象であることは間違いありませんが、副反応かどうかは結論が出ていません(欧米ではワクチンが原因ではなく、針を刺した刺激によって生じた可能性があると報告されていますが)。
この有害事象すべてを予防接種のせいにしてしまうのは間違いあり、冷静な判断によって、予防接種のメリットとデメリットを評価する必要があります。 

まとめ

お子さんがいて、病気にかかって受診したり入院したりした経験がある方には理解してもらえるとおもいますが、病気はかからないに越したことはありません。
いくら治療技術が発達して早く病気が治るようになったとしても、それは変わりません。
程度の差はありますが、予防接種はそれを可能にしてくれるものです。
とはいえ、予防接種をしたことによって病気にかかったり、生活が困難な症状が出たりすることがあるというのもまぎれもない事実です。
病気にかかってもいいからそのリスクを負いたくない、という意見を否定できるような理論を我々は持ちません。
ただ、子どもに関して言えば、予防接種を受ける子どもはその意見を言えません。
小児科医としては、その子どもの代弁者の一人として、現時点で接種が認められている予防接種については、子宮頸がんワクチンを含めて、個人レベルでも社会レベルでも接種によるメリットがデメリットを大きく上回ると判断できるものです、と言い続けるしかありません。
小児科医をしていると「あの時Hibや肺炎球菌の予防接種があったら」と思うことや「予防接種さえ打っていれば防げたのに」ということはたくさんあります。

そのようなことができるだけ少なくなることを願っています。

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